海ではライトロックフィッシュ、川ではネイティブトラウト用に購入したダイワ18カルディアLT2000S-XH。
2018年の発売から私が愛用しているリールの1つで、10才の長男と釣りに行く時には、子供のキャスティング練習用として今でも現役バリバリで使っています。
トラブル知らずのタフなリール、私にとっては「頼れる相棒」のカルディアだったのですが、先日、川で長男のキャスティング練習中に糸ヨレによるライントラブルが発生してしまいました。
ライントラブルの原因は、「ラインが緩んだ状態でハンドルを回したことにより正常に巻けなかった」「ラインの寿命」などが考えられますが、ラインをスプールに回収する「ラインローラーが正常に回転しなかった」可能性も否定できません。
海釣り後にはリールの水洗い、たまにグリスの注入をしていても、購入から2年経過しているため、ラインローラーに何かしらの汚れが残っていてもおかしくありません。
そこで今回は、スピニングリールで1番最初にラインに触れて、塩や汚れが残りやすい、ラインローラーの分解メンテナンスについてご紹介します。
また、スピニングリールの洗い方やグリスの注入については、こちらの記事にて紹介しています。
ラインローラーのメンテナンスに必要な道具
まずは、ラインローラーのメンテナンスに必要な道具を見ていきましょう。
メンテナンスに必要な道具は次の8つです。
- マイナスドライバー(リールによってはプラスドライバー)
- ピンセット
- 綿棒
- キッチンペーパー
- トレー(パーツ紛失防止のため)
- パーツクリーナー
- 小さめの容器(あれば密閉タイプがおすすめ!)
- オイルまたはグリス
オイル・グリスは釣具店、それ以外は全て100均やホームセンターで購入できるものを使用しています。
また、ラインローラー部のパーツは、小さい上に数が多いため、100均のトレーなどで紛失防止をおすすめします。
私が使用しているオイルは、ヘッジホッグスタジオのアルケミーオイル・ウルトラライト【超低粘度】を愛用しています。細いラインでライトソルトゲームやトラウトゲームをされている方におすすめです。
ダイワのリールガードスプレーセットは、初めて自分でオイル・グリスの注入をされる方におすすめです。別々でオイル・グリスを購入するより、メーカー純正のセットの方が割安でお財布に優しいです。
オイルとグリスはどっちを使う?
オイルとグリスの使い分けは、初めて自分でメンテナンスされる方は特に迷ってしまいますよね。
1番簡単なオイルとグリスの使い分けの目安は、「回転性能と防錆性能のどちらを重視するか」です。
そもそも、オイル・グリスは、どちらもリール回転部の潤滑と防錆が目的で、1番の違いは粘度にあります。
低粘度のオイルは、滑らかな潤滑で回転性能に特化している反面、防錆の被膜が薄いです。オイルが切れやすいので定期的なメンテナンスが欠かせません。
一方で、高粘度のグリスは、少しネットリとした被膜で防錆性能に優れ、オイルよりメンテナンスの頻度は低くても大丈夫です。ネットリしている分、回転性能は落ちます。
リールの機種によっては、ラインローラー部にボールベアリングが搭載されていないため、初めてメンテナンスをされる方は、海水の塩の付着防止とメンテナンス頻度の低いグリスがおすすめです。
今回の記事では、グリスを使用して注入しています。
ラインローラーの分解メンテナンス手順
ラインローラーの分解メンテナンス手順は次の4工程です。
- 分解
- 洗浄
- オイル・グリスの注入
- 組み立てて動作チェック!
メンテナンスの所要時間は約30分です。
分解メンテナンスは、年に1回は釣具メーカーへメンテナンスを依頼する、オーバーホールが推奨されていますが、機種によってはリール価格並のメンテナンス料となる場合もあります。
ラインローラーの分解メンテナンス自体は誰でも出来るのですが、あくまでも自己責任でお願いします。
それでは、各工程を写真を見ながら確認していきましょう!
1.分解
ラインローラーの分解は、ネジ1本外してパーツを取り出した順番に並べていきます。
ラインローラー部のパーツをただ順番に外していくだけの簡単な工程ですが、ネジの締め加減とパーツの順番が何よりも重要です。
ネジを締める力加減がわからないと、「ネジをキツく締めすぎてラインローラーが回らない」「ネジが緩くて海水が侵入してしまう」など、メンテナンスで快適になるはずのラインローラーが、分解前より故障しやすくなる場合もあります。
また、組み立てるパーツの順番を間違えると、ラインローラーが正常に機能しなくなりますので、パーツは外した順番通りに並べていきましょう!
ネジを外す時は締め加減を確認しよう!
ネジを緩めて外す前に、1度締め直して力加減を確認することをおすすめします。
ラインローラー部をせっかく綺麗に洗浄したのに、ネジをキツく締めすぎて回らなくなるのはあまりにも切ないですよね...。
ネジの締まっている状態を確認してから緩める→締め直しをしてみると、力を入れずにネジを締めて、止まったところから少し力を入れてキュッと締めるくらいの力加減でネジの向きが同じになりました。
試しに、初期状態よりもキツく締めてラインローラー部が回転するかテストしてみたのですが、この記事で紹介しているカルディアは回転が鈍るようなことはなく、正常に動きます。
しかし、リールの機種によってはラインローラーが回らなくなったり、キツく締めた状態で釣りをするとネジが固着して外れないケースがあるみたいなので、分解前にネジの締め加減を確認しましょう!
それでは、ネジを外してパーツを取り出していきましょう!
パーツを外した順番に並べて写真を撮ろう!
ラインローラー部は、複数の細かいパーツで構成されていますので、外した順番に並べて備忘録のために写真を撮ります。
この記事では、外す順番を写真で解説していますが、リールの機種によってはパーツ構成も変わってくるので、パーツを外して順番に並べたら忘れずに写真を撮るようにお願いします。
また、パーツ名については、ダイワ製リールのアフターサービスを受け持っているSLP(スポーツライフプラネッツ)のパーツリストのパーツ名で解説しています。
写真は、ネジ1本外した状態です。ベールの反対側は専用のレンチでなければ外れないため、ピンセットで1つずつパーツを外していきます。
写真のように、ラインローラーをつまんでベールから少し引っ張ってから戻すと、パーツが浮いて取り出しやすくなります。
ラインローラーをベールに戻して、まずは金色のローラーカラー(A)をピンセットで外します。
ローラーカラー(A)の次は、黒いローラーパッキンですが、こちらはローラーパッキン・ローラーボールベアリング・ローラーカラー(B)の3つのパーツが組み合わさっているので、ラインローラーをつまんでパーツをまとめて取り出します。
ラインローラーまで外しました。ローラーパッキンを裏返してみると、3つのパーツで構成されているのが確認できます。
また、今回はキッチンペーパーの上に、パーツを外した順番に右から並べています。
3つのパーツを分解し、赤い枠の右からローラーパッキン・ローラーボールベアリング・ローラーカラー(B)の順番に並べました。
スムーズに組み直しが出来るように、この段階で3つのパーツの組み合わせを1度確認してみることをおすすめします。
ここまできたら、あとはローラーカラー(C)とローラーカラー(D)の2つのみです。
全部のパーツを外した順番に並べてパシャリ。
リールの機種によっては、ローラーボールベアリングが搭載されておらず、パーツ数も少なかったりします。組み直しで苦戦しないためにも写真を撮っておきましょうね。
2.洗浄
分解したあとは、リールも気持ちもスッキリするパーツの洗浄です!
キッチンペーパーの上にパーツを並べているので、パーツクリーナーを直接吹きかけてもいいのですが、分解洗浄するならばガッツリ綺麗にしたいので、今回はパーツクリーナーに漬けて洗浄しています。
それでは、洗浄手順を順番に見ていきましょう!
綿棒でベール・アームレバー内部の洗浄
最初に、汚れや古いグリスが付着しているベールとアームレバーの内部を綿棒で洗浄します。
密閉容器にラインローラーのパーツが浸るくらいパーツクリーナーを噴射し、綿棒の先端を染み込ませます。
パーツクリーナーはシンナーのようなニオイがするのと、スプレーの勢いが強くて飛び散るのでフタの隙間から噴射しています。
ここでパーツを先に洗浄すると、綿棒に細かい汚れが付着することがあるので、パーツクリーナーが汚れる前に綿棒でベールとアームレバー内部を綺麗に洗浄します。
使用している綿棒は100均で購入したものですが、ラインローラー内部より気持ち大きいため、綿棒を少し押し付けるようにして汚れを拭き取りました。
アームレバー外側のネジ周りも忘れずに洗浄しましょう。
パーツ洗浄
続いて、先ほどパーツクリーナーを溜めた密閉容器に、ラインローラーのパーツを入れて洗浄します。
分解した時に写真を撮っているので、全てのパーツを入れて一気に洗います。
容器を軽く左右に降って、付着している汚れを浮かせて洗浄します。
ラインローラーのパーツを取り出してみると、細かい汚れが結構出てきました。
洗浄でパーツが綺麗になっていく様は、見ていて気持ち良いっ!(私だけとは言い切れないっ!?)
ローラーボールベアリング内部にも汚れが入り込みますので、全てのパーツを洗浄後、ローラーボールベアリングのみでもう1度クリーナーに漬けて洗浄します。
パーツは洗浄後、キッチンペーパーでクリーナーを綺麗に拭き取ります。
ローラーボールベアリングの回転チェック!
パーツクリーナーで洗浄した後にローラーボールベアリングが正常に回転するかチェックします。
ローラーボールベアリングの内径が綿棒より大きかったので、今回はピンセットで固定し、回転チェックしてみました。
洗浄しても異音がして正常に回転しないようであれば、ローラーボールベアリングが錆びているため、交換が必要です。
リールを購入した販売店でボールベアリングを注文するか、メーカー公式HPから注文することをおすすめします。
3.オイル・グリスの注入
オイル・グリスは、赤い枠で囲まれているプラスチックのカラーとローラーボールベアリングの2つに注油します。
プラスチックのカラーは、チューニングでボールベアリングへ交換可能な箇所で、ラインローラーの回転に欠かせないパーツです。
オイルなら1滴、スプレータイプのグリスならワンプッシュで大丈夫です。
4.組み立てて動作チェック!
最後の工程は、パーツを組み立てて、正常に回転するか動作チェックです!
ベールに組み込む前に、ローラーボールベアリングを含む3つのパーツは先に組み合わせます。
分解したパーツを右から並べたので、組み立ては左のパーツから順番にベールに入れるだけです。
最初に組み込むローラーカラー(D)は、写真のように出っ張りのある方からベールに入れます。ローラーカラー(D)の入れる向き以外は、難しい点はありません。
組み立てた後は、防錆対策でベールとアームレバーの溝にグリスを注入します。
最後に、ラインを通してラインローラーが正常に回転しているか動作チェックをします。
ラインを通す他にも、ラインローラーに綿棒を当てて回してみてもオッケーです!
最後に
海釣りした後にリールの水洗いを習慣化していたのですが、それでも付着している汚れがあって、私個人としてはショックが大きいラインローラーの分解洗浄でした。
反面、水洗いをしていなかったら汚れがもっと酷くなっていたと思うとゾッとします。
今回は、子供が使って糸ヨレが発生したため、カルディアを使用してから2年目にして初めてラインローラーのメンテナンスをしたのですが、年に1回は分解メンテナンスが必要と感じました。
ライントラブルが発生してからでは、最悪の場合、部品交換で余計な出費となっていたかもしれません。
雨などで釣りに行けない日に、お家で簡単に出来るラインローラーのメンテナンスを是非試してみてください!