みなさんは釣りをした後にリールの水洗いはされてますか?
ドラグを締める→水洗いで、リールに付着した海水の塩を取り除き、リールトラブルが激減するお手軽メンテナンスです。
家から海まで最低でも1時間は車でドライブ必須な私は、ペットボトルに水を入れて、釣り道具を片付ける時にリールの水洗いをしています。
しかし、時間を忘れて疲れ果てるまで釣りを楽しむため、たまーにドラグを締め忘れてリールを洗ってしまうことがあります。
「やってもうたー!」と気付いても時すでに遅し。ドラグ内にドバドバと水が侵入です。
やらかしちゃったリールは、前回の記事でラインローラーのメンテナンスをしたダイワ18カルディア。
ラインローラーのメンテナンスの時に痛感しましたが、釣行後の水洗いだけでは落としきれない汚れがあります。
また、ドラグ内に水が侵入すると、グリスが流れ落ちて正常に機能しなくなります。
クロソイなどの根魚で使用しているので、ドラグはキツめに締めて水の侵入は少ないかもしれませんが、ドラグは2年間ノーメンテです。
そこで今回は、ラインブレイクを防ぐ縁の下の力持ち、ドラグのメンテナンスをご紹介します。
スピニングリールの洗い方、ラインローラーのメンテナンスについては、こちらの記事にて紹介しています。
メンテナンス前にドラグの動作チェックを!
メンテナンスを始める前に、現在のドラグ状態をチェックすることをおすすめします。
ドラグを緩めて、ラインローラーにラインを通して一定の力でラインを引っ張ります。
ドラグ音が「ジジィィー」と鳴り出し、スプールが1周するまでにドラグの効き具合にムラがないか確認します。
ラインを送り出すスピードに変化を付けて、ゆっくり引っ張ってみたり、少し速くしてみたりします。ここでの注意点は、瞬間的に力を込めてしまうと、ラインローラーに負荷がかかって故障の原因にもなりますので、一定の力でラインを引っ張るようにお願いします。
ドラグの効き具合にムラが生じている場合、分解メンテナンスでパーツ洗浄後に、ドラググリスの塗布またはドラグワッシャーの交換をおすすめします。
ダイワATDドラグ専用グリスは販売されていない
ダイワスピニングリールのドラグには、ドラグ設定を気にすることなく、魚とのファイトに集中できるATD(オートマチックドラグシステム)が採用されている機種がありますが、ATDドラグ専用グリスは販売されていません。
ATDドラググリスが塗布されているドラグワッシャーを注文するか、メンテナンスを依頼する方法しかありません。
この記事で使用している18カルディアもATDドラグのため、本来ならドラグワッシャーを注文して交換するべきですが、今回は、ダイワトーナメントグリスIIIを使用して解説をしています。
ダイワトーナメントグリスIIIは、従来のUTD(アルティメットトーナメントドラグ)のドラグ専用グリスで、ATDドラグ専用グリスではありません。
私もカルディアを2年以上使用しているので、ドラグワッシャーを交換する予定ではありますが、新品に交換する前にATDとUTD、ドラググリスの塗布量でドラグの効き具合の違いを試してみたいと思います。
1度気になったら失敗してでも試してみたい好奇心に駆られてしまいます。(笑)
ドラグワッシャーを交換される方は、リールカスタマイズでお馴染みのヘッジホッグスタジオで、ダイワ純正のATDドラグワッシャーが購入可能です。
ドラグワッシャー1枚500円で、リールの番手によって1枚または3枚必要です。
実際にドラグの分解メンテナンスをしてみた結論から言いますと、ドラグ内部の古いグリスを洗浄後に、新品に交換したほうがドラグの効き具合は確実ですし、コストも安く仕上がります。
ドラグの分解メンテナンスに必要な道具と手順
ドラグの分解メンテナンスに必要な道具は、次の8つです。
- ピンセット
- 綿棒
- 密閉容器
- キッチンペーパー
- トレー
- ドラググリス
- グリス(またはオイル)
- パーツクリーナー
ドラググリス・グリス以外は、全てホームセンターや100均で揃えることができます。
KUREパーツクリーナープラスチックセーフは、速乾タイプなので洗浄スピードが早いです。リールのパーツ洗浄で愛用しています。
ダイワリールガードグリスは、ドラグワッシャーの下に入っているプラスチックのカラー(機種によってはボールベアリング)に防錆目的で使用します。回転性能を重視してオイルを使用しても問題ありません。
ドラグの動作チェックと分解メンテナンスに必要な道具を確認したら、分解→パーツ洗浄→グリスの塗布の順番でメンテナンスをしていきます。
分解
ドラグの分解は、ドラグノブを反時計回りに回してリール本体からスプールを外します。
スプール中心にドラグのパーツが組み込まれています。
ドラグノブの裏側はゴムパッキンになってて、ドラグ内部に水が入らない仕組みだったり、水の抜け穴が4箇所あって水が溜まらない仕組みだったりと、リールの細部まで丁寧に作り込まれているのがわかります。
釣りを始めたばかりの頃は、ドラグを締める、緩めるはしても、リールの仕組みが理解出来ていなかったので、リール本体からスプールを外すだけでも「壊してしまうんじゃないか」とビビってました。スプールを外したことが無い方も案外多いみたいですね。
ピンセットでドラグパーツを外す前に、スプールの裏側も見てみましょう。
スプールの裏側にもグリスがたっぷりと付着しています。
よく観察してみると、グリスが古くなって白化してましたので、今回はラインを外してスプールごと洗浄していきます。
スプール裏側の状態を確認したところで、ピンセットでドラグパーツを外していきましょう。
まずはドラグパーツを固定している、ドラグリングを外します。ピンセットでしっかりと挟まないとバネのように飛んでしまうので要注意です。
続いて、ドラグディスクを外します。グリスがたっぷりと付着しているため、写真のようにドラグワッシャーとくっ付いた状態になっていると思います。
ドラグワッシャーの素材はフェルト製なので、ドラグディスクから外す際は破れないように注意します。
外したパーツは右から、ドラグリング、ドラグディスク、ドラグワッシャーの順番に並べていきます。
ドラグ中央に見えるスプールカラーリングとスプールカラーも外していきます。
ドラグ内部のパーツは全部で5つです。
パーツだけを見るとあまり汚れてないように感じますが、スプール内部が目を塞ぎたくなる光景で、最低でも年に1回はチェックしたほうが良いと感じました。
ドラグ中央と周辺に白化したグリスが...。
汚れの程度が軽ければ、綿棒やキッチンペーパーにパーツクリーナーを染み込ませて拭き取ることが出来ますが、あまりにも汚れがひどいので、今回はパーツクリーナーに漬けて洗浄します。
洗浄
密閉容器に、ドラグ内部が浸るくらいパーツクリーナーを溜めて、全てのパーツを洗浄します。
ドラグパーツは容器の蓋をして軽く降ってグリスや汚れを落としましたが、スプールが容器より大きかったので、パーツクリーナーを直接噴射してグリスを落としてます。
こびり付いて取れない汚れは、綿棒を使って洗浄します。
定期的に確認しないと汚れが落ちにくくなって大変ですね...。
白く浮かび上がっている汚れは、古いグリスです。グリスの他にも黒く見える砂や塵も出てきました。
思っていた以上の汚れに凹んでしまう反面、リールが綺麗になっていくのは気持ちが良いですよね!
洗浄したパーツを取り出す際に、浮いた汚れが付着しないように取り出します。
ドラグパーツが劇的に綺麗になりましたね!
ドラグワッシャーって実は白かったんですね。(笑)
ライトロック用にドラグをキツめに締めていたので、締め付けた跡がドラグワッシャーに付いているのが確認できます。
新品のドラグワッシャーへ交換する際は、ドラグワッシャーの厚みの違いなどを改めて追記していきたいと思います。
グリス塗布
パーツの洗浄が終わったら、グリスの塗布をしてスプールにパーツを組み込みます。
使用するグリス、塗布箇所は次の通りです。
- ダイワリールガードグリス:スプールカラー・スプール裏側
- ダイワトーナメントグリスIII:ドラグワッシャー
どちらのグリスも、パーツに塗布してからスプールに組み込んでいきます。
スプールに最初に組み込む、スプールカラーにグリス(オイル)を塗布します。
スプールカラー、スプールカラーリングを組み込みます。ここでの注意点は特にありません。
スプールの裏側も忘れずにグリスを塗っていきます。赤い丸の内側に、グリスを染み込ませた綿棒で薄くコーティングするイメージで塗りました。
スプールの裏側にグリスは塗らなくても良いのかもしれませんが、防錆目的で塗ってます。
ドラグワッシャーへのドラグ専用グリスの塗布が1番悩みました。
というのも、ダイワトーナメントグリスIIIの注意書きには、グリスを米粒3粒ほど絞り出して均一に塗っていくと書いてあるのですが、絞り出した瞬間にドラグワッシャーに染み込んでしまってグリスを伸ばすことができませんでした。
結局、グリスの塗布量がわからず、ドラグワッシャー全体を湿らせて色が変わる程度にしました。釣りに行ってドラグの効き具合の確認、調整が必要かなと感じます。
大人しく、ドラグワッシャーを新品に交換が確実です!
ドラグワッシャー、ドラグディスク、ドラグリングを組み込んでドラグノブを締めます。
スプールを手で回してグリスを馴染ませていきます。
この後に、動作チェックをしてみたのですが、明らかにATDドラグと違ってドラグが効き過ぎる感じがします。
私個人としては、根魚相手にラインが送り出されるのが嫌だったので、効き過ぎるくらいが丁度良くて満足です。
最後に
初めて自分でメンテナンスをするときは、「実際にやってみないとわからない」ことだらけです。
ドラグの分解メンテナンスは、分解→洗浄→グリス塗布と、工程そのものは簡単ですが、ドラグワッシャーに使用するドラグ専用グリスの塗布量が難しいと感じました。
しかし、1度でも自分でメンテナンスを経験すると、リール構造が理解できて、異音や故障の原因が特定しやすくなります。
天候などで釣りに行けない日には、自分で出来るメンテナンスを是非試してみてください!