優れたコストパフォーマンスで私にベイトフィネスの楽しさを教えてくれたリール「アブガルシア・ロキサーニBF8」。
ロキサーニBF8は、実売価格15,000円以下でありながらベイトフィネスリールに重要なパーツは上位機種のREVOと同じ素材が採用されているため、1年以上使用してもトラブル知らずのタフなリールです。
しかし、初心者でもエントリーしやすい価格にしていることもあり、ボールベアリングは必要最低限しか入っておりません。
エントリーモデル・ミドルクラスのリールは、価格を抑えるためにハンドルを回す巻き心地に関係するボールベアリングが削られているので、自分好みの巻き心地へチューニングされる方も多いですよね。
そこで今回は、ロキサーニBF8を上位機種にも負けない巻き心地へ進化させるボールベアリングの追加方法をご紹介します。
アブガルシア・ロキサーニBF8については、こちらの記事にてご紹介しています。
ロキサーニBF8のベアリング数
ロキサーニBF8の初期状態のベアリング数は5個で、ボールベアリングが4個とローラーベアリングが1個搭載されております。
写真の丸で囲まれている4カ所にボールベアリングと、ハンドル内部にローラーベアリングが搭載されています。
ベイトフィネスリールとして軽量ルアーを飛ばすスプールと、ラインを回収するハンドルを回転させるには必要最低限のベアリング数ですが、ボールベアリングを5個追加して総数10個まで増やすことが可能です。
これにより上位機種であるREVO・ALC-BF7を超えるベアリング数となります。
REVO・ALC-BF7のベアリング数は8個です。リール自重などどうしても敵わない点はありますが、数千円でできる改造で本体価格1.7万円の差がある上位機種以上の滑らかな巻き心地になるコスパ最強カスタムを、手順を見ながら試してみましょう。
ボールベアリングの追加は2カ所
ボールベアリングの追加できる部分と個数は、ハンドルノブに4個とウォームシャフトに1個の2カ所に5個です。
ハンドルノブ
まず1カ所目のハンドルノブは、丸で囲まれた所にボールベアリングを4個追加できます。
ハンドルノブは、ネジを2本外すだけの簡単な作業でボールベアリングを追加できるので超おすすめです!
ハンドルノブにボールベアリングを追加するのは、巻き心地が向上するだけと思っていたのですが、ほんのわずかな振動もノブから伝わるようになり、凄腕アングラーですとハンドルノブを通して魚のアタリを感じとることができるみたいですね。恐ろしや・・・。
ウォームシャフト
続いて2カ所目のウォームシャフトは、丸で囲まれた所にボールベアリングを1つ追加することが可能です。
ボールベアリングを1個追加するだけなのですが、ウォームシャフトへ辿り着くまでにリールの9割くらいを分解する必要があるため、手順をしっかり確認してから作業することをおすすめします。
ハイエンドクラスのリールは、ウォームシャフトの両サイドに1つずつボールベアリングを追加できるみたいですが、ロキサーニBF8はハンドル側の1つのみです。
ボールベアリングのサイズ
ロキサーニBF8に適合したボールベアリングのサイズは、ハンドルノブは「内径5mm×外径8mm×厚さ2.5mm」、ウォームシャフトは「内径4mm×外径7mm×厚さ3mm」です。
ボールベアリングの適合サイズの確認は、各釣具メーカーのリールカスタムパーツを取り扱っているヘッジホッグスタジオがわかりやすくておすすめです。
また、今回のチューニングでは、ヘッジホッグスタジオのリール専用ボールベアリングを使用しています。
ハンドルノブには、ひとつひとつ手作業で選別して合格したものだけを厳選し、究極の滑らかさを実現したSHG-プレミアムベアリングを購入しました。
ウォームシャフトのボールベアリングは、なかなかメンテナンスが難しい箇所なので、SHGプレミアムベアリングに比べて10倍以上の防錆性能を誇るHRCB防錆ベアリングを購入しました。
巻き心地の回転性能と防錆対策で耐久性を追求したリール専用設計のボールベアリングで、日本製ということもあり、少し値は張りますが品質と安心感で選びました。
よくある低価格なボールベアリングは中国・東南アジア製のものが多く、せっかく追加したのに違いがあまりよくわからないとなると「安物買いの銭失い」感が半端ないですからね・・・。
それでは、ボールベアリングの追加手順を見ていきましょう。
ハンドルノブのボールベアリング追加
まずは、ハンドルノブのボールベアリングの追加手順から確認しましょう。
必要な工具はピンセットとマイナスドライバー(3.0mm)の2つですが、ハンドルノブにはグリスがたっぷりと付着しているため、パーツクリーナーとティッシュペーパーで拭き取ってからボールベアリングを追加します。
また、細かいパーツが多いため、紛失防止に100均のトレーを使用しています。
1.ハンドルノブを分解
ハンドルノブを分解と言っても、キャップとネジを外すだけの簡単な作業です。
キャップ中央に穴が開いているので、ピンセットやつまようじ、針金などを差し込んで外します。
キャップを外して、ドライバーでネジを外します。最初はキツく締められているので、プラスドライバーを使用する際はネジ穴が潰れないように要注意です。
ネジ穴の周りにグリスでべったりと黒ずんでいるパーツが、ボールベアリングの代わりに入っているプラスチックカラーです。
全て外した状態です。写真のようにパーツを外した順番に並べると組み立て時にスムーズに作業できます。
ハンドルノブの内側などにグリスが付着しているので、パーツクリーナーで洗浄してからボールベアリングを追加します。
ハンドルノブの内部に噴射してからティッシュペーパーで拭き取りました。
グリスは粘度が高く、防錆対策に効果抜群ですが、グリスが古くなっている・回転性能が低下するという理由で洗浄しました。
今回使用したクレ・パーツクリーナープラスチックセーフは、強力な洗浄力とプラスチックへの安全性を両立した速乾性のパーツクリーナーです。
私はホームセンターで気軽に購入できるパーツクリーナーを選びましたが、洗浄剤もこだわりたい方は、樹脂を傷めない高性能なリール専用のZPI・F-0パーツクリーナーもおすすめです。
2.プラスチックカラーをボールベアリングへ交換
ハンドルノブの軸やネジも洗浄した後は、プラスチックカラーをボールベアリングへ交換して組み立てます。
ここでの注意点は特にありません。ネジがボールベアリングに干渉することはないので、多少キツく締めても大丈夫です!
ウォームシャフトのボールベアリング追加
つづいて、ウォームシャフトのボールベアリング追加手順です。
分解に必要な工具は、先ほどのハンドルノブで使用したピンセット・マイナスドライバーの他に、プラスドライバー(#0)と六角レンチ(10mm)です。
ハンドル側を分解する前に、マグネットダイヤル側のパームサイドプレートとスプールを先に外しておくと作業がしやすくなります。
サイドプレートに付いているレバーを下に動かしてロックを解除します。
次からパーツ数が増えてきますので、写真を見ながら確認していきましょう!
1.ハンドル・スタードラグを分解
まずはハンドル→スタードラグの順番に分解します。この2つを分解しないとギアサイドプレートを開くことはできません。
ハンドルの分解は、ネジ→ハンドルナットカバー→ハンドルナットの順番に外します。
ハンドルは2つのワッシャーで挟まれているため、外す際は紛失に注意してくださいね。
ハンドルのパーツ総数は6個です。次にスタードラグは手で回して外します。
スタードラグのパーツ総数も6個です。グリスでくっついているパーツもあるため、ピンセットで1つずつ取り外すと順番も確認できて紛失防止に繋がります。
2.ギアサイドプレート・ギアを分解してウォームシャフト部へ
ここからギアサイドプレート→ギア→ウォームシャフトの順番に分解します。
ギアサイドプレート外側はネジが3本あり、右上の1本だけサイズが一回り小さいです。
ギアサイドプレート内側はネジ1本だけですが、丸で囲まれているパーツはネジがゆるむと外れるため、紛失注意です。そうとは知らずに落としてしまい小一時間ほどゴニョゴニョ・・・。
ギアサイドプレートのパーツ数も6個ですね。
ハンドル・スタードラグ・ギアサイドプレートと、それぞれのパーツをポケットティッシュで分けて置いておくと組み立て時にわかりやすくなります。
リール内部のギアを外す前に、1度ウォームシャフトのボールベアリングの位置を確認しましょう。
写真の小さなギアの下にボールベアリングと交換するプラスチックカラーが入っています。
次にメインギアを外していくのですが、ギアのギザギザが斜めになっているため、組み立てる際に向きが逆にならないように今のうちに確認しておきましょう。
メインギアを外すと写真の状態になります。赤い丸の3箇所のネジを外し、緑の丸で囲まれている箇所は固定されていないのでピンセットで取り外します。
メインギア含めてパーツ数は8個です。先ほど外したネジの1本は、後ほどご紹介するフロントカバーのパーツに移動しています。
ギアサイドプレート内部はほとんど分解したのですが、ウォームシャフトギアに小さいピンが埋め込まれているため、反対側のパームサイドプレートからウォームシャフトを分解していきます。
ネジ→フロントカバーの順番で外します。
ウォームシャフトのEリングを写真のようにドライバーを当てて外します。
このEリングは、ウォームシャフト分解の最難関ポイントで、外しにくい・飛ばして失くしやすいと初心者泣かせの悪魔のパーツです。コツがあるみたいなのですが、私も毎回苦戦します・・・。
フロントカバーとパームサイドプレート側ウォームシャフトのパーツ数は7個です。
ここでようやくギアサイドプレートのギアとピンを外せます。
パームサイドプレート側からウォームシャフトを指で持ち上げて、ピン→ギアを外します。
ピンは固定されておらず、紛失に注意してピンセットで抜き取りましょう。
あとはプラスチックカラーからボールベアリングへ交換です。
リールの最深部と言っても過言ではないウォームシャフトですが、ここまでの作業はパーツ数が多いだけで分解そのものは簡単です。
ウォームシャフトのボールベアリング追加やご自身でのメンテナンスは、リールへの愛着をより一層深いものへとなりますが、あくまでも自己責任なのでご注意お願いします。
そのままにしようとも思ったのですが、ギアなどに付着している古いグリスを軽く洗浄しました。分解する際にくっついたままのパーツもあったので、パーツごとに洗浄することをおすすめします。
また、ギア部にはダイワ・リールガードグリスを注入しております。
3.順番に組み立てて動作確認!
あとは分解したパーツを順番に組み立てて、リール動作に問題が無ければ完成です!
組み立てる際にはパーツの順番も大事ですが、パーツの向きが違うとリールは正常に動作しません。特に注意すべき2点を写真で見ていきましょう。
まず1つめの注意点は、ストッパーと呼ばれるパーツで、写真の向きが正しい位置です。向きが反対でもしれっと付いてしまい、ハンドルが回らなくなるので要注意です。
2つめの注意点は、スタードラグのクリックプレートと2つのワッシャーです。写真の組み合わせが正しい状態です。
クリックプレートは凹状になっており、向きが逆になるだけでハンドルを回してもスプールが回転せず、クラッチを押しても戻らなくなります。
2つのワッシャーは少し湾曲しており、真ん中に空洞ができるように取り付けます。
こちらは、誤った取り付け例です。
クリックプレートの向きが逆になるとハンドルが正常に機能しないことを知らなかった私は、リール内部を5回以上開いて、組み立てが間違っていないか確認しました・・・。
また、2つのワッシャーもピッタリくっついた状態で組み合わせてしまうと、ドラグを締める動作が正常に機能しないので要注意です。
このように取り付けてしまうと、ハンドルが正常に回らなくなって嫌な汗が出るくらい焦りますので、初めて分解する時は少し面倒でも外した順番にパーツを並べて、分解するたびに写真を撮ることを強くおすすめします。
この記事では、ハンドルノブとウォームシャフトの追加手順をご紹介していますが、スプールのベアリングをかっ飛びチューニングキットに交換されたい方や動画で手順を確認されたい方は、YouTubeにメンテナンス動画をアップしてます。
こちらの動画も合わせてご確認いただけると幸いです。
追加後の巻き心地は・・・?
ロキサーニBF8を初期状態で1年以上使っている私の感想は「巻き心地が軽くなって超快適!」です。
ハンドルノブについては、目に見えて違いがはっきりとわかります。
ボールベアリング追加テスト
— たむ (@TuriTamHRF) 2020年3月30日
無し→有りで回してみました。
リールのチューニングにハマってます(笑)#ロキサーニBF8#チューニング pic.twitter.com/uACWuy5a8n
びっくりするくらいにクルックルに回ります。
今までハンドルノブは、親指と人差し指でしっかりとつまんで巻いていたのに対して、ボールベアリング追加後は、人差し指の上にハンドルノブを置いて親指は添えるだけです。
指先に力を入れる必要がないので、凄腕アングラーのように「魚のアタリを感じとるようになるかも!?」と期待が高まります!
ウォームシャフトのボールベアリング追加も巻き心地に変化を感じられました。
さすがに高性能リールのようなシルキーな巻き心地ではありませんが、ハンドルを回す時に感じる重さがかなり軽くなりました。
巻き心地が軽くなると手首も疲れにくくなるので、長時間釣りを楽しむことができますね!
新しいリールを購入したようなワクワク感満載で早速試してきました!
私の体感ですが、初期状態との巻き心地の違いがはっきりと感じられて、チューニング前では難しいと感じていた、スイミング系の巻きの釣りも楽しめます。
ボトムずる引き2投目でヒットです!コスパ最強カスタムのメモリアルフィッシュで26cmのクロソイが釣れるとは・・・「はっきり言ってサイコーです!」
まとめ
最後に、ハンドルノブとウォームシャフトのチューニングに必要な工具と今回使用したボールベアリングをおさらいしましょう。
チューニングに必要な工具
- ピンセット
- マイナスドライバー(3.0mm)
- プラスドライバー(#0)
- 六角レンチ(10mm)
ハンドルノブのみチューニングされる方は、ピンセットとマイナスドライバーの2つで大丈夫です。
また、今回のチューニングの他にメンテナンスやボールベアリングの交換も自分でしてみたい方は、私の使用しているリール専用のメンテナンスキットもおすすめです。
今回使用したボールベアリング
- ハンドルノブ:SHGプレミアムベアリング(2,880円)
- ウォームシャフト:HRCB防錆ベアリング(1,090円)
ロキサーニBF8に追加できるボールベアリング5個の合計価格は3,970円です。
ボールベアリングの種類も沢山ありますが、同じ時間をかけてチューニングするのであれば、ベアリングの精度と耐久性を重視して検討することをおすすめします。
すでにロキサーニBF8をお持ちの方はもちろん、これからロキサーニBF8の購入を検討されている方にもおすすめのチューニングです!
ぜひ試してみてください!