PEラインをメインラインに、リーダーを結束する方法を調べていくと、必ずと言ってもいいくらい目にするFGノット。
ライン同士を結束した際に、結び目が小さくてガイド抜け良好のため、ルアーフィッシングにおいては人気の高いノットです。
結束強度は85%以上と高く、釣り場でも実用性の高いライン同士の結び方ということで、私もPEラインを使い始めた当時は、一生懸命に結び方を練習してみたのですが、「すっぽ抜けて上手く結べない...。」「難しくて自分には無理だな...。」と諦めていました。
挫折して5年くらい経ち、港でロックフィッシュを狙うには特に必要性を感じていなかったFGノットだったのですが、私が今年挑戦したい「サクラマス」を狙うにはFGノットがやはり定番とのこと...。
私の住んでいる北海道の道東方面ではまだ時期が早く、「外出自粛期間で釣りに行けないならFGノットをマスターしよう!」と「#おうち時間」を利用して再挑戦!
しかし、挫折した時と同様に、ネットや動画でわかりやすい解説で簡単そうにFGノットを結束されているのに、実際に真似してみても上手く結べません。
「自分は不器用だからFGノットが出来ない」と、また挫折しそうにもなりましたが、結束する工程ごとに失敗するパターンと結ぶ役割を確認してから100回以上練習して強度テストを繰り返した結果、85%以上の結束強度を安定して出せるようになりました。
そこで今回は、私みたいに練習しても出来なくてFGノットに挫折した方や結束強度が安定しない方、これからFGノットを覚えたい方へ、FGノットの結び方と注意点を徹底的に解説します!
FGノットの結び方
この記事でご紹介するFGノットの結び方は、PEラインをリーダーに編み込む定番の結び方で、編み込みとハーフヒッチの回数は次のとおりです。
- 編み込み10往復(20回)→ハーフヒッチ仮止め→締め込み
- PEライン本線とリーダーにハーフヒッチ10回
- PEライン本線にハーフヒッチ4回→エンドノット
私が練習と強度テストに使用したPEラインは0.4号と1号の8本編みですが、編み込みやハーフヒッチの回数なども変えて試してみると上記の回数に落ち着きました。
また、純粋に85%の結束強度が出せるのかを確認したかったので、リーダーをライターで炙る焼きコブは無しで解説しています。
解説では以下のラインとドラグチェッカーを使用しています。
ダイワ UVF HRFセンサー8ブレイド+Si 1号は17lbで、PEライン強度は約8kgです。私の持っているラインの中で1番見やすい色という理由で使用しています。
このPEラインの8kgをベースに強度テストをしたかったので、リーダーは20lbで組み合わせてみました。
ヤマトヨテグスのフロロカーボンリーダー20lbのライン強度は約9kgです。
リーダーの強度が弱いと、FGノットの限界強度前にリーダーが破断する恐れがあるため20lbで結束しています。
ノットの結束強度を確認するために、BOUZのドラグチェッカーを使用してテストをしました。
ノットの結束強度テストの他にも、ドラグ調整や魚の重量も計測できるのが面白くて、個人的に超ハマってます(笑)
PEラインの8kgの強度を基準に85%を算出すると、6.8kg以上の強度がFGノットの合格ラインです。
それでは、私のしくじりポイントを含めてFGノットの結び方を見ていきましょう!
1.編み込み→ハーフヒッチ→締め込み
まず最初に、編み込みを10往復してからハーフヒッチで仮止め、締め込みの工程です。結論から言いますとFGノットの8割はここで決まります。
なぜ、この工程でFGノットの8割が決まるのかと言いますと、締め込み後の状態で強度テストをしたみたからです。
PEラインの強度8kgに対して6.4kgで破断したので、結束強度は80%です。
締め込み後の強度テストを10回してみたのですが、最高で7kgの87%、最低で6.4kgの80%でした。
つまり、締め込みまでの工程だけで強度80%以上を確保できているため、編み込み部分がリーダーの上を滑っている時点で失敗です。
私も最初は出来なくて、何度も失敗した末に気付いたしくじりポイントは、1番最初の編み込みにありました。
編み込み10往復
編み込み回数の10往復は、FGノット初心者でも綺麗に締め込みが出来て一定の強度を出せる回数です。
編み込みの工程で、私のしくじりポイントは次の4つです。
- PEラインが編み込みの途中で緩む
- 編み込み時にリーダーの下(または上)で十字のクロスが出来ない
- 編み込みが緩い・密に編み込めない
- 編み込んでいるうちに回数を忘れてしまう
この4つのしくじりが、締め込んだ際に編み込み部分がすっぽ抜けてしまう原因になります。
編み込み回数を忘れてしまうのは私だけかもしれませんが、他の3つはPEラインを巻きつける左手でほぼ解決できます。
PEラインが編み込みの途中で緩む
PEラインが編み込みの途中で緩む原因は、指に巻きつけたPEラインが指の上で滑っているからです。
しかし、指の上でPEラインが滑っているからといって、指への巻き付け回数を増やせば良いわけではありません。
重要なのは、指に巻き付けた後にPEラインを引っ張って滑らないか確認することです。
左手人差し指の第一関節にPEラインを巻き付けていきます。
PEラインの太さや4本編み、8本編みで巻き付け回数は異なりますが、人差し指には4回〜7回程度巻き付けます。
今回は4回巻き付けています。写真のようにテンションをかけた際に、指の上を滑っている感覚があると、編み込みの途中で緩む原因になります。
何回巻き付けても良いのですが、人差し指に巻き付けたPEラインは、最終的にはカットする捨て糸になりますので、指の上を滑らない最小の巻き付け回数をおすすめします。捨て糸は短い方が嬉しいですよね。
ここで人差し指の巻き付け回数が少ないと、「編み込みの途中でラインが短くなったらどうするの?」と疑問を持たれる方も多いと思いますが、編み込み回数が10往復であれば指に巻き付けたPEラインを解くことなく編み込みができます。
続いて、薬指にもPEラインを巻き付けていきます。
薬指にPEラインを巻き付ける際の注意点は、次の2つです。
- 人差し指と薬指を自分の広げられる限界まで指の間を開く
- PEラインをピンと張っている状態で薬指に巻き付ける
この2つの注意点を抑えることで、PEラインの緩み防止の他にも、密に詰めて編み込みができるようになります。
薬指に巻き付けるPEラインは、カットしない本線になりますので、巻き付け回数は4回以上で指の上を滑らなければ何回巻いても問題ありません。
PEラインを薬指に5回巻き付けました。指の間を閉じると巻き付けたPEラインが三角の山になります。この状態でリーダーに編み込みをしていきます。
薬指に巻き付けたPEラインの巻き終わりを、小指に挟んで編み込み時に干渉しないようにするのですが、慣れないうちは緩んでかなり邪魔をしてきます。
巻き終わりのラインが緩んで気になる方は、写真のようにPEラインを小指の下から1回巻き付けて、編み込み時に干渉しないようにしてみましょう。
編み込み時にリーダーの下(または上)で十字のクロスが出来ない
編み込み時にリーダーの下(または上)で十字のクロスが出来ない原因は、左手の人差し指と薬指が動かせていないからです。
リーダーの長さは3cmくらいで、人差し指と薬指から出ているPEラインの中心を右手の親指と人差し指で軽くつまみます。左手は手のひらが見えている状態で、PEラインはリーダーの上に乗せて右手でつまみます。
リーダーの下で十字を作るときは、人差し指を動かします。
人差し指を手前に突き出すように動かして、リーダーの下を通過したのを確認してから手の甲へ返していきます。
次に、右手でリーダーを下に向けて、リーダーの上でPEラインの十字を作ります。
リーダーの上で十字が出来ても、薬指から出ているPEラインがリーダーの上を通らないと編み込みにはなりません。
薬指を手前に突き出して、リーダーの上を通ってから手のひらを返します。
結び慣れている方にとっては当たり前のように出来ても、練習したばかりの時は、リーダーの下と上で十字を作ることすら出来ませんでした。
リーダーの下で十字を作る時は人差し指、リーダーの上で十字を作る時は薬指を動かすと確実に編み込みが出来るようになります。
編み込みが緩い・密に編み込めない
編み込みが緩い、または密に編み込むことが出来ないと、締め込みの際にムラができて安定した強度が出せなくなります。
密に編み込みをするための対策は、実は薬指にPEラインを巻き付けた段階で解決済みなのです!
写真はリーダーの下で1回、上で1回の十字を作った状態です。ここで、左手の中指と親指でリーダーの先端をつまみます。
薬指にPEラインを巻き付ける際に、指の間を広げてピンと張った状態で薬指に巻き付けているので・・・
指を広げるだけで十分なテンションをかけて密に編み込むことが可能です!
テンションをかけるタイミングも色々と試してみたのですが、1往復ごとにテンションをかけていくと、編み込み回数も数えやすいです。
10往復編み込んだ状態です。ここまで出来るようになるまでに編み込みの練習だけで50回以上しました。
この記事を見ながら練習をされる方は、密に編み込みが出来るまではハーフヒッチの仮止めをしないことをおすすめします。
簡単そうに見えても、実際にやってみると左手が思うように動かず「俺の左手がぁっ!」とプチ厨二病が発症します。左手の封印が解けてからハーフヒッチを行いましょう!
編み込んでいるうちに回数を忘れてしまう
FGノットの編み込みが往復で1回と数えることが多いので、途中で回数を忘れてしまいます...。
私だけなのかもしれませんが、往復で数えるのが苦手な方は、下で1回、上で1回とカウントして20回で10往復となりますので、自分のカウントしやすい方法で編み込みすると良いでしょう。
編み込みを練習して出来るようになったと確認できる目安としては、両手を離しても緩まないレベルです。
次のハーフヒッチの仮止めに入ると、ラインをカットして捨て糸が出てくるので、ラインを無駄にしないためにも編み込みの練習は出来るまで繰り返しましょう!
ハーフヒッチ仮止め
編み込み10往復の次は、ハーフヒッチで仮止めです。
ハーフヒッチとは、糸で作った輪の中に先端を通して結ぶだけの止め結びです。
ここでの私のしくじりポイントは、仮止めの力加減がわからなかったことです。
仮止めの力加減がわからなかった
仮止めが緩いと編み込み部分がリーダーの上を滑ってすっぽ抜けてしまうし、キツく締めるとPEライン本線が擦れてしまって強度が低下してしまいます。
何度もすっぽ抜けたり、PEラインが切れて捨て糸を量産した結果、ハーフヒッチで仮止めの力加減は、リーダー本線とPEライン本線、PEライン先端の3本の形で判断できるとわかりました。
PEラインとリーダーの持ち手を変えて、ハーフヒッチの仮止めを順番に見ていきましょう。
リーダー本線を左手に、PEライン本線を右手に持ち替えてからハーフヒッチで仮止めをしていきます。
次に、右手の親指と人差し指でPEライン本線とリーダー先端をつまみます。
ここでの注意点は、PEライン本線とリーダー先端が交差しないように並べてから右手でつまむことです。
ラインが交差してしまうと、締め込みの際に強度が低下する原因になります。
右手でPEライン本線とリーダー先端を右手でつまんでから、PEライン先端を下からくぐらせて輪を作ります。
続いて、PEラインの先端を本線の上から輪の中に入れます。
PEラインの先端を口でくわえて、少しずつ引っ張っていくと輪が小さくなって編み込みの根元まで結び目が移動します。
編み込みの根元でハーフヒッチで仮止めをするのですが、この時の力加減は、口で引っ張った時に両手に持っている本線が少し屈折するくらいの強さです。
3本のラインの形が「T」の状態なら緩すぎ、「Y」の状態なら締めすぎです。
この3本のラインの形は、ラインの太さによって変わってくるのかもしれませんが、イメージとしては、編み込みの根元で結び目が出来てから軽く力を入れて「キュッ」と結び目が小さくなる力加減です。全力で締め込む必要はありません。
ハーフヒッチはあくまでも仮止めのため、結び目を触ると簡単に動いてしまいますが、しっかりと締め込みをすることで焼きコブ無しでもすっぽ抜けを防止できます。
締め込み
締め込みも何度もすっぽ抜けて苦戦したのですが、結論から言いますと、「密に編み込みができていれば超簡単」です。
まずは、編み込みとハーフヒッチの部分を唾液か水で軽く濡らします。
PEライン先端は口でくわえてピンと張ってテンションをかけ、左手にリーダー本線、右手にPEライン本線をそれぞれ手に巻き付けて滑らないようにします。
この時に、口にくわえているPEライン先端は緩まないようにテンションをかけるだけで、力を込めなくても編み込み部分はズレません。両手に持っている本線をジワジワと力を込めて引っ張って締め込み完成です。
ケガ防止のため、両手にフィッシンググローブなどの着用を推奨しますが、力加減を確認したい場合は素手の方がわかりやすいです。
リーダーの上を滑らずに締め込みが出来たら、FGノットの8割は完成です。
締め込みしてからの工程は、ハーフヒッチの連続とエンドノットだけなので、しくじりポイントはありません。私のようにFGノットが出来なかった方は、締め込みまでの工程のどこかで失敗しています。
次のハーフヒッチの工程からは、必要性を交えてお伝えします。
2.PEライン本線とリーダーにハーフヒッチ10回
PEライン本線とリーダーにハーフヒッチを10回行う目的は、締め込みの際にスレてしまうPEライン本線の補強と負荷の分散のためです。
締め込みの段階で強度が80%以上出ていたとしても、何回もキャスティングを繰り返すルアーフィッシングゲームでは耐え切れず、締め込み部分で切れてしまいます。
PEライン本線とリーダーにハーフヒッチをする回数は、私が調べた中では5回〜10回が多かったため、この記事では1回ずつしっかり締め込む練習も兼ねて10回にしています。
また、ハーフヒッチを本線の下と上を交互に繰り返す方法もありましたが、強度テストでは数値が変わらなかったため、仮止めの時と同様に全て本線の下を通す結び方にしています。
ハーフヒッチの結び方はハーフヒッチ仮止めの項目と同じですが、1回ずつ力を入れてしっかりと結びます。
ここでの注意点は、リーダーの長さより輪を大きく作ってしまうと、PEライン本線のみにハーフヒッチをする可能性があるため、必ず右手の親指と人差し指でリーダーをつまんでから輪を作るようにしましょう。
ハーフヒッチを10回巻きました。今回はリーダーをライターで炙って焼きコブを作らないので、リーダーがほんの少しだけ見えるギリギリまでカットします。
PEライン本線とリーダーにハーフヒッチを10回巻いて、リーダーをカットしました。
あとは、PEライン本線にハーフヒッチとエンドノットでFGノットの完成です。
3.PEライン本線にハーフヒッチ4回→エンドノット
最後に、PEライン本線にハーフヒッチを4回結んでエンドノットで完成です。
何故、FGノットでPEラインの本線のみをハーフヒッチするのかと言うと、結び目の段差を無くしてガイド抜けを良くすることと、リーダーをカットした切り口でPEライン本線が傷付かないように保護することです。
しかし、練習したばかりの頃は、なんでPEライン本線にハーフヒッチをするのか意味が全くわかりませんでした。
最初は全く必要の無い工程と感じていたのですが、細部まで配慮された結び方とわかった時には「疑ってゴメンなさい」と猛省です。
ハーフヒッチの回数は5回〜10回とまちまちですが、今回は、ほんの少しだけ見えるくらいなのでエンドノット含めて5回で大丈夫です。
ハーフヒッチを4回行った状態です。リーダーをギリギリまでカットしたのでPEライン本線を傷付けることはありません。
エンドノットは、ハーフヒッチのように輪を作った後に、PEライン本線に先端を2回巻き付ける結び方です。唾液や水で濡らしてから締め込みます。
あとは余分なPEラインの先端をカットして完成です!お疲れ様でした!
参考までに、写真の数値は10回以上強度テストをした最低値です。PEラインの強度は8kgで、FGノットの合格ラインは85%の6.8kgなのでギリギリですね(笑)誤差はあると思いますが、最高値は7.2kgの90%でした。
最後に
この記事は、FGノットが出来なかった方やこれから挑戦される方へ、私の出来なかったしくじりポイントを含めてわかりやすさを意識して書きました。
もし、手順などでわかりにくいところがありましたら、Twitterなどでご連絡をいただけますと、差し替えて更新していく予定です。
私は友人と同じ時期に釣りを始めたので経験はないのですが、FGノットについて調べていくと「FGノットが出来ないだけで馬鹿にされた」などのコメントを見かけました。
結束強度もたしかに大事なのですが、どんなノットでも切れずに魚を釣り上げられたらそれで良いと思います。
FGノットは、初めて挑戦するには難しい編み方でも出来なかったポイントを落ち着いて確認して練習すれば必ず出来ます!
みなさんがFGノットをマスター出来るように応援しています!