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北海道の渓流ベイトフィネス|50オーバーのニジマスから学んだタックルバランス

北海道・十勝地方の小規模河川には、運が良ければ50cmを超えるニジマスに出会えるチャンスがある。

私がホームとしているフィールドは、激戦区として有名な河川ではなく、十勝川支流にあたる小規模河川だ。

メインターゲットはニジマス。時にはブラウントラウトやイトウが顔を見せることもある。

そんなフィールドで渓流ベイトフィネスを続けてきたが、最初から今のタックルバランスに辿り着いたわけではない。

ラインブレイクやスナップの変形により目の前で逃してきた大型魚たち。

その悔しい経験を積み重ねた先で、初めて手にした50オーバーが60cmのニジマスだった。

今回は、その経験から辿り着いた北海道の渓流ベイトフィネスのタックルバランスについて紹介したい。

ベイトフィネスを始めたきっかけ

スピニングタックルの挫折

私が渓流ルアーフィッシングを始めた頃は、「渓流=スピニングタックル」というイメージが強かった。

当時はDAIWAのタックルを愛用しており、DAIWA公式YouTubeで小林将太さんが出演する動画や、SMITHの故・本山博之さんの動画をよく視聴していた。

動画内でターゲットとしていたのは20〜30cmクラスのヤマメやイワナ。魚を釣ることはもちろんだが、狙ったポイントへ正確にルアーを送り込むキャスト技術や流れを読みながらルアーを操作する姿に憧れていた。

当時のスピニングタックルは、DAIWA ピュアリスト48ULに18カルディア2000番、ラインはラパラのPE0.6号。小規模河川を釣り歩くには十分満足できる組み合わせだった。

しかし左利きの私にとって、スピニングタックルにはひとつ悩みがあった。キャスト時にラインを保持する際、人差し指の第一関節でラインを押さえることや、フェザーリングのしづらさからライントラブルが発生することがあったのだ。特にスプール上にラインが乗ったり、いわゆる「ヒゲ」ができたりするトラブルは少なくなかった。

そんな時に目に留まったのが、本山博之さんが監修したDAIWAのベイトフィネスリール「アルファス エアストリームカスタム」だった。

トラブルを少しでも軽減したくて渓流ベイトフィネスの世界へ

ベイトフィネスリールなら親指でスプールを直接コントロールできる。ライントラブル軽減への期待だけでなく、憧れていたキャスト技術にも近づけるのではないかと思った。

こうして私は、DAIWA ワイズストリーム49L-3とアルファス エアストリームカスタム、そしてスピニング時代から使い続けていたラパラPE0.6号を組み合わせ、渓流ベイトフィネスの世界へ足を踏み入れた。

当時はまだキャスト精度も高くなく、大物が潜んでいそうなポイントへ正確にルアーを送り込むこともできなかった。それでも35cmクラスのニジマスが釣れれば十分満足していたし、ベイトタックルで魚を釣る楽しさに夢中になっていた。

しかし、十勝で釣りを続けるうちに、次第に「50cmを超えるニジマスを釣ってみたい」という気持ちが強くなっていくことになる。

デカニジハンター白土高利さんとの出会い

50オーバーのニジマスを意識し始めた頃、私にとって大きな転機となったのが白土高利さんとの出会いだった。

出会いのきっかけは釣具店を通じたワカサギ釣り。

当時の白土さんはSMITH、VARIVAS、ハルシオンシステムのフィールドスタッフとして活動しており、現在は帯広市の釣具の釣り人に勤務。フィールドスタッフとしては現在もハルシオンシステムで活動を続けている。

当時の私は35cmクラスのニジマスが釣れれば十分満足していた。

しかし白土さんと一緒に渓流へ入るようになってから、その考えは大きく変わることになる。

  • 狙うポイントが違う
  • キャストの精度が違う
  • 居ると思ったら何度もルアーを送り込む

アップ、アップクロス、クロス、ダウンクロス、ダウンととにかく粘る。

大型のニジマスは獲物が鼻先を通るまでじっと動かないくらい警戒心が強いらしい。

猛禽類から身を潜め、生存競争を勝ち抜いてこそのサイズだ。

初めて一緒に釣行した際、目の前で45cmクラスのニジマスを釣り上げる姿を見た時の衝撃は今でも覚えている。

それまで自分が狙っていなかった場所にルアーを送り込み、当たり前のように魚を引き出してしまう。

「十勝には本当にこんな魚がいるんだ」

そう実感した瞬間だった。

youtu.be

それ以降、私もキャスト精度を上げるために何度も渓流へ足を運んだ。

魚を釣るためではなく、狙ったポイントへ正確にルアーを送り込むためだけに釣行する日もあったほどだ。

少しずつピンポイントへのキャストが決まるようになり、それに比例するように大型魚との出会いも増えていった。

そんな中で白土さんから教わったのが、北海道の大型ニジマスを想定したタックル選びだった。

一般的な5ftクラスのトラウトロッドは、源流域や小規模河川の20〜30cmクラスを想定して設計されているものが多い。

しかし50オーバーのニジマスとなると話は別だ。

実際に白土さん自身も大型魚とのファイトでロッドを破損した経験があり、その経験から監修したのがハルシオンシステムのアキュート48MLだった。

私も大型魚への備えとしてアキュート48MLを導入し、リールはそれまで使用していたアルファス エアストリームカスタムを継続して使用した。

これで50オーバーへの準備は整った。

そう思っていた。

しかし実際に大型魚との出会いが増えるにつれ、今度は別の問題が見えてくることになる。

大型魚との出会いが増えて見えたタックルの弱点

大型ニジマスとの遭遇率が上がるにつれ、それまで気にならなかったタックルの弱点も見え始めていた。

PE0.6号で経験したラインブレイク

当時使用していたメインラインはラパラのPE0.6号。

小型から中型のニジマス相手であれば特に不満はなく、実際に問題なく使用できていた。

しかし大型魚とのファイトになると状況は変わった。

  • 流れに乗った魚を止めようとした瞬間
  • 倒木へ向かう魚を止めようとした瞬間

突然テンションが抜ける。

最初はFGノットを疑った。

しかし回収したラインを確認すると、切れていたのはリーダーとの結束部ではなくPEライン本線だった。

大型魚とのやり取りが増えるにつれ、PE0.6号に不安を感じるようになっていった。

そこで白土さんへ相談したところ、

「ベイトフィネスの強みは太いラインが使えること」

という言葉をもらった。

それまで私は飛距離軽量ルアーの扱いやすさを優先していた。

しかし白土さんは、掛けた魚を確実に獲るための強さを重視していた。

そのアドバイスを受け、メインラインはPE1号へ変更。

リーダーも14lbへ見直した。

リーダー結束はFGノット、何度も練習した結束方法なので強度には自信がある。

今振り返れば、PEライン0.6号で50オーバーのデカニジと対峙しようとしてたのは無謀な挑戦だったと感じる

スナップとの結束方法

PE1号と14lbリーダーへ変更したことで、ライン強度に対する不安は大きく減った。

今度こそ大型ニジマスと勝負できる。

そう思っていた。

しかし次に見えてきたのは、スナップの結束部分だった。

大型魚とのファイト中、再び突然テンションが抜ける。

今度はPEラインも切れていない。

FGノットも残っている。

確認すると、スナップごと魚に持って行かれていた。

当時はスナップとの接続にユニノットを使用していた。

それまで特に問題を感じたことはなかったが、大型魚とのファイトでは想像以上の負荷が掛かっていたのだ。

そこで再び白土さんへ相談したところ、勧められたのがパロマーノットだった。

PEライン、リーダー、そしてスナップとの結束。

少しずつ不安要素が減っていくのを実感していた。

パロマーノットの結束方法についてはSeaguar公式サイトを参考にしております。

パロマーノット|ラインと金具を結ぶ|強いノットはこれだ|フロロカーボンのパイオニア・釣り糸のシーガー|Seaguar

見落としていたスナップ強度

しかし、それでも問題は終わらなかった。

今度は大型魚とのファイト中にスナップそのものが変形したのだ。

当時使用していたスナップの強度は約8kg。

小型から中型のニジマス相手なら十分だったが、大型魚とのファイトでは耐え切れなかった。

  • ラインは切れていない。
  • FGノットも問題ない。
  • パロマーノットも残っている。

つまり、それまで改善してきた部分は機能していた。

しかし最後にスナップが負けてしまった。

この時も白土さんから、

「強度が足りない」

と指摘された。

そこでスナップは21kgへ変更。

サイズが大きくなることに不安もあったが、

「魚が見ているのはスナップじゃない。ルアーの動きだよ」

スナップサイズは気にする内容じゃない。

実際、ルアーの動きに悪影響は感じなかった。

PE0.6号からPE1号へ。

ユニノットからパロマーノットへ。

スナップの強度を8kgから21kgへ。

失敗するたびに原因を探し、一つずつ改善していった。

ようやく大型ニジマスと本気で勝負するための準備が整った。

そしてその後、私の渓流人生を変える一匹と出会うことになる。

初めて獲った50オーバーは60cmのニジマスだった

そして、その日は突然やってきた。

場所はいつもの十勝の小規模河川。

ここに絶対いると信じ、何度もしつこくキャストする。

ルアーを流れに馴染ませながらアクションを入れた次の瞬間だった。

明らかに今までとは違う衝撃がロッドへ伝わった。

ヒット直後から魚の重さが違う。

動かない、根掛かりではなく重すぎて動かない。

ロッドは限界まで曲がり、折れるのではないかと思うほどだった。

ドラグはほぼフルロック。

それでもラインは少しずつ引き出されていく。

魚は簡単には寄らない。

むしろこちらが耐えているだけの時間が続いた。

その瞬間、今まで経験してきた失敗が頭をよぎる。

PEラインが切れた魚。

スナップごと持って行かれた魚。

スナップが伸ばされて逃した魚。

しかし今回は違った。

ラインテンションが抜けず、ひたすら耐えている。

今まで改善してきた全てが機能していた。

慎重に距離を詰め、ネットへ誘導する。

魚体がネットへ収まった瞬間、思わず声が出た。

60cm。

人生初の50オーバー。

そして自己記録となるニジマスだった。

追い続けてきた目標が、ようやく現実になった瞬間だった。

この魚とのファイトはYouTubeでも公開している。

youtu.be

再生回数は決して多くないが、キャストからランディングまで全て記録に残っている。

今見返しても、私の渓流人生の中で特別な一本だ。

60cmのニジマスが教えてくれたこと

60cmのニジマスを釣り上げたことで、自分の考えていたタックルバランスが間違っていなかったことを初めて実感できた。

  • もしPE0.6号のままだったら
  • もしユニノットのままだったら
  • もし8kgクラスのスナップを使い続けていたら

結果は違っていたかもしれない。

今回の魚をキャッチできたのはロッドやリールだけのおかげではない。

ライン、リーダー、結束方法、スナップ強度。

大型魚とのファイトで見えてきた課題を一つずつ改善してきた結果だと思っている。

また、この魚との出会いは北海道の渓流に対する考え方も変えてくれた。

一般的な渓流トラウトのイメージでは20〜30cmクラスが中心かもしれない。

しかし十勝の河川では、小規模河川であっても50cmを超えるニジマスがヒットする可能性は大いにある。

だからこそ、タックルは単体ではなく全体のバランスで考える必要がある。

  • ロッドだけ強くても意味がない
  • ラインだけ太くても意味がない

どこか一箇所でも弱点があれば、そこが限界になる。

60cmのニジマスは、そんな当たり前だけど大切なことを改めて教えてくれた一匹だった。

ここからは、そんな経験を経て現在私が使用している渓流ベイトフィネスタックルを紹介したい。

現在の渓流ベイトフィネスタックル

60cmのニジマスを釣り上げて以降も、私のタックルは少しずつ変化している。

釣りを続ける中で考え方や好みも変わり、現在は次のようなセッティングに落ち着いている。

もちろんこれが正解というわけではない。

十勝の小規模河川で50オーバーのニジマスを追い続けた結果、現時点で私が選んでいるタックルだ。

ロッド

現在使用しているロッドはアブガルシア トラウティンマーキスアスレイ462UL。

60cmのニジマスをキャッチしたロッドはハルシオンシステムのアキュート48MLだったが、現在はグリップ部分のコルクが破損しているため使用を休止している。

アキュート48MLは生産終了しているので、グリップだけ変えて復活させたいお気に入りのロッド。

アキュート48MLは大型ニジマスを意識して設計されたMLクラスらしい安心感があり、60cmをキャッチした実績もある。

一方で現在使用しているトラウティンマーキスアスレイ462ULは軽快な操作感が魅力だ。

渓流ではキャスト回数も多く、テンポ良く釣り歩くことが多いため、その軽快さは大きな武器になる。

また、個人的にはグラスロッド特有のしなやかな曲がりも魅力的だが、現在は感度や操作性を重視してカーボンロッドを選択している。

50オーバーのニジマスについては問題なく対応できているが、60cmを超えるサイズはまだ不明。

その時が来たら改めて記事にしてご紹介しようと思う。

リール

現在のメインリールはアブガルシア ZENON LTX。

発売当初から4年以上使い続けているお気に入りのリールだ。

最大の魅力はパーミング性能。

Fishmanの赤塚ケンイチさんのキャストスタイルを参考にした3フィンガーキャストとの相性も良く、長時間の釣行でも疲れにくい。

もちろん軽量なリールであることも魅力だが、個人的には軽さ以上に操作性の高さを評価している。

これまでアルファス エアストリームカスタムをはじめ、複数のベイトフィネスリールを使用してきたが、現在もっとも使用頻度が高いのがZENON LTXだ。

詳しい使用感については別記事でレビューしているので、興味があればそちらも参考にしてほしい。

www.tamnoblog.com

ライン

現在のメインラインはVARIVASスーパートラウトアドバンス ベイトフィネスPE0.8号を使用している。

私が通うフィールドでは60オーバーのニジマスはまずお目にかかれない。

よくて50オーバーなので、ホーム河川に合わせたセッティングにしている。

ホーム河川が70オーバーのモンスタートラウトが棲息しているフィールドだったら良かったのだが、新規開拓はハズレくじばかり。

そのため現在はホーム河川で快適に遊べることを優先してPE0.8号を選択している。

リーダー

リーダーはVARIVASショックリーダー スーパートラウト アドバンス ビッグトラウト VSP フロロカーボン14lbを使用している。

ナイロンリーダーは伸縮性があるため、魚を掛けてからキャッチまでの安心感はあるが、ULの柔らかいロッドに伸縮性のあるナイロンリーダーはフッキング力に不安が残る。

ファイト中にバラす苦い経験はしたくないのでリーダーはフロロカーボンを愛用している。

着眼点をロッドの素材にするならカーボンロッドとナイロンリーダーの相性も悪くないと思い、一応ナイロンリーダー14lbも釣行時には携帯している。

スナップ

スナップはSMITH SPスナップ-BK#2 21kgを使用している。

アベレージサイズ20〜30cmの渓流魚なら8kgで十分だが、50オーバーの大型魚が掛かった際に確実に獲るために21kgでスナップの変形は防止しておきたい。

現在では欠かせないセッティングの一つになっている。

まとめ

十勝の渓流には、50cmはおろか、70オーバーのモンスタートラウトが存在する。

ただし、簡単に出会える魚ではない。

十勝に住んでいても、50オーバーを追い求めながらまだ手にできていない人もいると思う。

また、北海道各地や本州から、夢の一匹を求めて十勝へ遠征してくる人もいるはずだ。

そんな千載一遇のチャンスが訪れた時、タックルの弱点で魚を逃してしまう悔しさは本当に大きい。

私自身、PEラインのラインブレイク、スナップとの結束トラブル、スナップの変形によるバラシを経験してきた。

その失敗を一つずつ改善した先で、初めて50オーバーとなる60cmのニジマスを手にすることができた。

この記事で紹介したタックルバランスが唯一の正解だとは思っていない。

それでも、私の失敗談と改善の過程が、十勝で50オーバーのニジマスを狙う人の参考になれば嬉しい。

その一匹は、いつ掛かるか分からない。

だからこそ、後悔しない準備をしてフィールドに立ってほしい。